山頭火アラーム
日本語EN

よく使われることば

七百一句を、ことばの数でかぞえてみました。
いちばん多いことばは「草」、五十二句——ついで水、山、月。
歩いて、乞うて、山野に寝た人の見ていたものが、そのまま順番にあらわれます。

ことばの旅路

大正十四年、熊本から。昭和十五年、松山まで——十五年の行乞流転。
その時期にとりわけ多く詠まれたことばを、章の道すじに立てました。
山頭火をつまんで動かすと、時代をたどれます。

山 笠 雲 あるく いただく 鉢の子 熊本・味取観音堂から旅へ 大正14〜昭和7年・42〜49歳 茶 ふる 花 食べる 火 其中一人 山口・其中庵 昭和7〜9年・49〜51歳 ぬれる いばら いそぐ 土 朝 行乞途上 庵から托鉢の道へ 昭和8〜9年・50〜51歳 日 雪 月 実 咲く 山行水行 山へ、水へ 昭和9〜11年・51〜53歳 道 ちる 草鞋 柳 ぬぐ 旅から旅へ 東京へ、木曽へ、平泉へ 昭和11年・53歳 あかるい 風 人 枯れる 住む 雑草風景 其中庵 昭和11〜12年・53〜54歳 草 あたたかい 柿 落葉 葉 柿の葉 其中庵、晩期 昭和12〜13年・54〜55歳 日の丸 函 汗 しぐれる 秋 銃後 銃後の町で 昭和12〜13年・54〜55歳 竹の子 死 竹 春 啼く 孤寒 湯田温泉・風来居 昭和13〜14年・55〜56歳 うまい 死ぬ ふるさと 夜 青い 旅心 信濃、東北、そして四国へ 昭和14年・56歳 水 旅 鳴く 墓 石ころ 鴉 松山・一草庵 昭和14〜15年・56〜57歳
歩く山頭火

一位

草

くさ · 53回 · 52句

『草木塔』の書名は、草木の命を供養する塔のこと。山頭火にとって草は、すわる場所であり、寝床であり、いつか帰っていく場所だった。「うれしいこともかなしいことも草しげる」。

二位

水

みず · 48回 · 45句

行乞の道々で出会う湧き水、汲む水、もらってもどる水。酒に身を持ちくずした人がいちばん多く詠んだ飲みものは、じつは水だった。「へうへうとして水を味ふ」。

三位

山

やま · 37回 · 34句

巻頭句「分け入つても分け入つても青い山」の山。富士でも阿蘇でもなく、ただ「青い山」——どこの山でもないから、読む人それぞれの山になる。

ことば回数ことばのおぼえがき
4 月つき 34回 · 34句 庵にひとり住むようになってから、月はいちばん親しい訪問者になった。戸締まりをしない暮らしだから、月は寝床まで入ってくる。「寝床まで月を入れ寝るとする」。
5 咲くさく 30回 · 30句 名のない草が咲くことに、この人は何度でも足をとめた。咲くものはみな、そのままで肯定される。「それもよからう草が咲いてゐる」。
6 雪ゆき 30回 · 24句 山頭火の句でいちばん静かな言葉かもしれない。其中庵にひとり、降り積もるものをじっと見ている。「雪へ雪ふるしづけさにをる」。
7 風かぜ 24回 · 24句 風は吹かれるものではなく、そのなかを歩くものだった。「けふもいちにち風をあるいてきた」。風はときに涼しく、ときに「おのれを責めつつ歩く」道づれになる。
8 花はな 23回 · 23句 花ざかりよりも、ひっそり咲く花に目がいく人だった。茶の花、枇杷の花、ぺんぺん草の花。「やつと咲いて白い花だつた」。
9 ふる 21回 · 20句 雨が降り、雪が降り、木の葉が降る。笠ひとつで降るものの下を歩きつづけた人だから、この言葉は空から句へまっすぐ落ちてくる。「雪ふる食べるものはあつて雪ふる」。
10 葉は 20回 · 19句 柿の葉、枇杷の葉、芋の葉。一枚の葉が落ちる、それだけのことが一句になる。「日ざかり落ちる葉のいちまい」。
11 旅たび 20回 · 17句 山頭火の生涯そのもの。家を持たず、旅から旅へ草鞋を穿きかえながら句は生まれた。「この旅、果もない旅のつくつくぼうし」。
12 落葉おちば 19回 · 18句 落葉は掃くもの、踏むもの、そして人の訪れを知らせるもの。庵のひとり暮らしでは、落葉の音が耳のそばにある。「落葉ふみくるその足音は知つてゐる」。
13 あるく 17回 · 17句 山頭火は歩く俳人だった。「どうしようもないわたしが歩いてゐる」。行き先はなくて、歩くことのほうが目的だった。だから句も、歩数のように増えていく。
14 食べるたべる 16回 · 15句 いただいた米を炊き、蕗を摘んで食べる。食べることの句は、そのまま生きていることの記録である。「しみじみ食べる飯ばかりの飯である」。
15 ふるさと 16回 · 15句 生家の没落と母の死があった山口の町。なつかしさと痛みがいつも同居している。「ふるさとは遠くして木の芽」。
16 水音みずおと 15回 · 15句 水の音だけで一句が立つ。「分け入れば水音」。山を歩く人にとって水音は道しるべであり、庵では心を静めてくれるものだった。「水音しんじつおちつきました」。
17 雲くも 15回 · 14句 見上げれば雲が急ぎ、雲のおとした雨に濡れる。空をゆくものの速さと、地上を歩く自分の遅さと。「寒い雲がいそぐ」。
18 おちる 14回 · 12句 熟柿がおちる、椿がおちる、葉がおちる。おちるものを待つ時間が、庵のいちにちだった。「澄太おもへば柿の葉のおちるおちる」。
19 ちる 13回 · 13句 咲くことと同じだけ、散ることを詠んだ。散るのは花や葉であり、いつかの自分でもある。「ひつそり咲いて散ります」。
20 啼くなく 12回 · 12句 虫は「鳴く」、鳥はしばしば「啼く」と書き分けた。「啼く」と書かれるとき、その鳥はどこか山頭火自身である。「鴉啼いてわたしも一人」。
21雨12回 22枯れる12回 23朝12回 24空12回 25柿12回 26実12回 27蕗12回 28芽11回 29あたたかい11回 30日11回 31ふかい10回 32ゆく10回 33てふてふ10回 34春10回 35鳴く10回 36墓10回 37木10回 38つくつくぼうし10回 39石9回 40道9回 41雑草9回 42土9回 43鴉9回 44竹9回 45藪9回 46ひとり8回 47死ぬ8回 48秋8回 49椿8回 50しづか8回 51火8回 52人8回 53白い8回 54待つ8回 55飯8回 56萩7回 57すすき7回 58笠7回 59木の芽7回 60二つ7回 61一つ7回 62すわる7回 63寝る7回 64音7回 65おちつく7回 66もどる7回 67ふく7回 68あかるい7回 69うつくしい7回 70ぬける7回 71手7回 72吹く7回 73青い7回 74木の葉6回 75身6回 76うまい6回 77逢う6回 78冬6回 79米6回 80ふむ6回 81穂6回 82死6回 83ぬれる6回 84鳥6回 85しげる6回 86行く6回 87たたく6回 88炎天5回 89いただく5回 90乞う5回 91とんぼ5回 92彼岸花5回 93影5回 94家5回 95しぐれる5回 96秋風5回 97茶5回 98ひらく5回 99御飯5回 100竹の子5回 101涼しい5回 102ながれる5回 103生きる5回 104したしい5回 105日の丸5回

全七百一句を機械で数え、ひとの目でたしかめました。
「ゐる」「する」のような、どの句にもあることばは除いています。五句以上のことばを載せています。

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